ドルチェヴィタ

キムラさん観察記。

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2009-06-10-Wed-16:11

メシアのたまご。

Shitao=現代に現れたメシア(=救世主)。
なんて荒唐無稽で無謀で、反面ロマンチックで美しいイメージなんだろう、と。
ましてや、人を抱きしめて癒すなんて、キムラさんの容貌もあいまってなにやらえろちっくなイメージも。

実際にスクリーンで見た彼は、不死で人を癒す力をもち、本来畏怖されるべき存在であるのに、
未完成で、未熟で、無知で、それゆえに無垢な、ほとんど幼子のような存在でした。

本来メシア(ここではキリスト)は超自然的なパワーで奇跡を起こすと共に、
言葉で人に感銘を与え、真理を説き、人々を導く存在のはずですが。
Shitaoはほとんど言葉を持たず、只ひたすら人の痛みを引き受け呻くだけ。
その愚直なまでの行為ゆえか、癒された者でさえ、もがき苦しむ彼を置き去りにして小屋を去る。
(瀕死の息子を救われた母と救われた息子自身の態度を思い出してみよう)
奇跡の人と崇め奉られ大切に扱われるべき彼を、唯一守ろうとしたのはマグダラのマリアと思しきリリだけ。
Shitaoは『人を癒すべし』との啓示を受けたものの、その意味も使い方も知らなかったのでしょうか?
メシアとしてはいわば生まれたてのたまごの彼は、『求められているんだから』と際限なく苦痛を引き受けつつ、
再生と力を与えられた意味を、自らさぐるしかなかったのかもしれません。

この受動的で純真無垢なShitaoのイメージを、キムラさんはものの見事に体現していました。
ジャングルの再生シーンといい、リリとの短い同棲のシーンといい、ドンポとの対峙シーンといい、
Shitaoは生まれたての赤ん坊のようであり、無垢な少年のようであり、同時にどこか老成したような、
底知れぬパワーと強さを感じさせるという、
年齢不詳のミステリアスなオーラを放つ人物でなければならなかった。
トラン監督が最初からこの人物設定を考え、キムラさんをキャスティングしたのなら、
ものすごい直観力だなぁと思います。
実際はなんとなくイメージに合いそうだとキャスティングしてみたら予想外にハマったので、そこから膨らませて
自分の意図するキャラクターに近づけていったのかもしれませんが。

ドンポの行為によって、<抱きしめて、癒す>手段まで封印され、苦しむ彼を探し出すのが
父(=Father=神)の遣いであり、一度は悪魔によって翼を食いちぎられた天使と思しき青年というのも
なんとも暗示的ではあります。
しかも、その<父>も<汚染を恐れ>他者との接触を避けて隔離された天界に生きるのみの存在。
善と悪の区別が曖昧になり、聖なるものへの人々の尊敬や恐れも消え去りつつある今、
神が人を導くための啓示の力さえも弱まり、世界は一層の混沌に沈みながら、そこかしこに
苦痛が満ち溢れているという、暗示なのかもしれません。


メシアのたまごは、幾多の苦痛の末に何を見出すのでしょうか?

彼を発見し、傷ついた幼子のように大切に胸に抱きかかえた青年が、この後共に道を歩み、
その過程で癒されつつ、メシアのたまごを大切に守っていく図、を夢想してしまうアタシは、
まだまだ甘いのかもしれませんね・・・。


拍手レスです。

ドンポについては全く同じこと考えてました。
個人的に、ドンポとクラインは十字架の右と左にいる人物かもしれない、と。
クラインとハスフォード、ドンポとShitao、と考えていくと広がりすぎて混乱しますね(;´∀`)
ほんとに分析しがいのある題材だ。
つか、早く2回目見たいよーーー!




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COMMENT

2009-06-10-Wed-20:30

いらっしゃいませ。

早速お邪魔いたしました(笑)
まだざっとしか拝見してないのですが、とってもエキサイティングで面白いです。
ぜひぜひ、じっくり読ませてくださいませ。

> この映画に思いをはせるほど、彼に会いたくなってしまいます…

私もです。
一体彼を救うにはどうすればいいのだろうか?などとマジで考えてしまったりして(恥)
しかしこの映画。
何も考えずに「キモっ!」で流してしまうこともできると思うのですが、深読みすればするほど面白い。
分析癖や妄想癖のある人間にはほんとに麻薬ですよ。
一発・即・ジャンキーです!

> 結末について、HTさまの考えのように考えるとこちらまで救われるような気がします。

私も自分が救われるために妄想してる部分があります(笑)
あまりにもShitaoが愛しい存在になってしまって。
それに、彼を解放したクラインの仕草がものすごく優しく繊細だったので、「どうか彼を守ってください!」
みたいな気分になってしまったという・・・やはり甘いな、自分。

> でも天使があくまで天上からの「遣い」だとするなら…どうなんでしょうね。

Shitaoは天上に戻ったほうがたぶん幸せかもしれません。
苦痛も恐怖もない世界。
Shitaoの姿は地上の泥にまみれてなお一層輝いてましたが、
あの美しさはほとんどこの世のものではなかった感じでしたねー・・・。

うーん。わからない。
トラン監督は登場人物のみならず、この映画に魅せられた人間までも悩ませる。
穏やかそうな外見とは裏腹な、極Sデスネ(爆)

2009-06-10-Wed-19:25

はじめまして!

初めましてこんにちは、konynonと申します。
いつもお邪魔させていただいていますが、コメントは初めてなのでキンチョウします…
HTさまの文章、なるほど!と膝をうちました(古い)
カオス化するような現代世界にこそ、SHITAOのようなかなり特殊な人物が成立したのかもしれませんね。
私なりに感想を書きなぐってみたのですが、この映画に思いをはせるほど、彼に会いたくなってしまいます…
 調子にのってblogを貼り付けてしまったのですが(恥)、よろしかったら…是非。

結末について、HTさまの考えのように考えるとこちらまで救われるような気がします。
でも天使があくまで天上からの「遣い」だとするなら…どうなんでしょうね。私も早く2回目が観たいです!
ほんとに駄文申し訳ないです、失礼しました(’へ`)

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